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うのすまいトモス
いのちをつなぐ未来館 / 鵜の郷交流館

2019Complete

CAt赤松佳珠子大村真也

-うのすまいトモス-
釜石市立釜石東中学校・鵜住居小学校・鵜住居幼稚園・釜石市鵜住居児童館が竣工し、こどもたちが大階段を駆け上がる姿が新しいまちの息吹となった頃、この計画はスタートした。

学校の175段の大階段はメインストリートを経て鵜住居駅へとつながる。この『まちの軸』が2019年のラグビーワールドカップ開催のために整備され、鵜住居復興スタジアムまで繋ぎ『復興の軸』となるよう計画された。

鵜住居駅前に計画された3つの建築(いのちをつなぐ未来館、鵜の郷交流館、釜石市民体育館)は、学校に通う子どもたちと、訪れた人びとのアクティビティが連鎖するように、復興の軸に沿った配置とした。それぞれの建築には木仕上げの軒天を設け、学校を見上げると温かみのある軒下空間が連続する。

夜はほとんど明かりがない鵜住居のまちに希望をともすよう、学校体育館はガラス、中学校はポリカーボネート、小学校はランダムな開口を設けた。それらの光と呼応するようじ、それぞれの建築画どのようにまちの光として機能するかを考えた。

学校から続く一連の建築に、アクティビティ、マテリアル、光が連鎖していくこと。小嶋一浩の東北震災復興と、そして今後の建築の在り方に挑み続けた想いを韻を踏むように引き継ぐ。連歌のような建築群がこのまちに新たなリズムを生み出し、この地に寄せた復興への願いを響かせ、イキイキとにぎやかな日常へと繋がっていく。


-いのちをつなぐ未来館-
「祈りのパーク」に寄り添うように建つこの建築は、ここでの活動アーカイブとなる本棚に囲まれ自然光に満ち、活動の拠り所になる「まちのアーカイブ」を中心に、ふたつの展示空間で構成されている。

「震災の記録」としての常設展示の「記録のゾーン」と、「まちの記憶」として変わり続ける企画展示としての「記憶のゾーン」。
「記憶のゾーン」は、「祈りのパーク」のエントランスとしての機能を持ち、子供たちが学校帰りに立ち寄りたくなるような明るく開放的な土間空間とした。木架構のグリッドを拠り所に思い思いの展示ができるように、梁下と土間にスリットを設け、ふすまや障子のように動かせる展示パーティションが設置されている。
「記録のゾーン」は「祈りのパーク」の印象的な起伏のある緑を引き込み、自然と静かに対峙できるような落ち着いた空間とした。


-鵜の郷交流館-
「いのちをつなぐ未来館」とは逆勾配の屋根を架け、学校からの動線、駅やロータリー、広場などと繋がりどの方向からみても、せり上がった木仕上げの軒が印象的な建物とした。
4m以下の流通材で構成した7.28mスパンの物販・厨房・機械スペースのボリュームを包み込むような構成である。四方からの人の流れを引き込み、賑わいを生み出す、裏のない建築を目指した。

DATA

所在地 岩手県釜石市
用途 博物館(いのちをつなぐ未来館)
物販・店舗(鵜の郷交流館)
構造 木造
規模 地上1階(いのちをつなぐ未来館/鵜の郷交流館)
敷地面積 いのちをつなぐ未来館:1,873.65㎡
鵜の郷交流館:3,345.57㎡
建築面積 いのちをつなぐ未来館:387.35㎡
鵜の郷交流館:604.45㎡
延床面積 いのちをつなぐ未来館:334.54㎡
鵜の郷交流館:537.81㎡

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西川公朗
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