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Town Hall

和束町健康福祉交流センター cha nova

2025Complete

CAn伊藤恭行

Other use | PublicHealthcareComplexOffice

風景に応答する

京都府和束町は茶の産地である。和束川沿いの谷筋に位置し、町の周囲を取り囲む山の斜面は茶畑となっている。特に敷地東側に近接する山は斜面全体が茶畑となる圧巻の風景である。どのようにこの風景に対峙するかがこの建築に問われている。

施設としては、ホールや貸室などの公民館機能と町役場の福祉課、社会福祉協議会事務スペース、診療所、保健センターという異なる機能が複合したものとなっている。近年、高度成長期に建設された公共施設が更新の時期を迎えており、人口減少時代に応じて複数の施設を一つにまとめて建て替えることが多い。本施設もそのような流れの中に位置づけられるものとなる。その際、全く異なる機能を持つものが一つの建物の中に共存することになるが、それらを結びつける空間が単なる動線としてだけではなく町の人々の居場所となるように設えることが建築に求められる極めて重要な役割である。

この計画では複数の機能を2層のボリュームの中に収めているが、それらを結びつける要の位置にイマ(居間)と呼ぶ吹抜空間を設けている。この吹抜の空間の東面に幅11m、高さ8mの大きな開口を設け、眼前の山の斜面に広がる茶畑の風景をダイレクトに取り込むこととした。吹抜の中央部に大きな階段を置き、上下を移動する際にも風景が意識されるように計画している。

構造は3つのRCコアと鉄骨の混構造である。RC壁構造の躯体で水平力を保持し、大半の床を支える鉄骨は鉛直過重のみを受ける軽快な形式である。RC躯体は全て外断熱とし、躯体蓄熱をすることで四季を通じて安定した室内環境となるよう計画している。また、浸水想定区域であるため災害時の対策が必要となるが、1階の診療所が配置されているRC躯体の開口部には水密扉と水密シャッターを設置している。診療所内部を浸水被害から保護することで災害後にもすぐに稼働して町民の生命と健康を守る役割を果たせるよう配慮した。また、避難場所となるホールは2階に配置している。

DATA

所在地 京都府相楽郡和束町
用途 庁舎(福祉課)
社会福祉センター
診療所
保健センター
構造 RC造+S造
規模 地上2階+塔屋1階
敷地面積 5594.16㎡
建築面積 1631.10㎡
延床面積 2445.17㎡

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