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一宮の住宅改修

2015Complete

CAn宇野享

背景としての建築
この建物は、愛知県一宮市の神社境内に建つ2世帯住居の改修計画である。改修にあたり、神社と住宅(社務所)の関係性をどう位置付けるか、長い年月の中で建て増しされてきた住宅群(社務所)をどう整理するかを試行錯誤しながら計画を進めた。最終的には、今回改修の対象となる、ふたつの住宅の複雑な屋根をフラットルーフで一体化することで、耐震補強も兼ねた一つの建築とする。長い年月の中で密集し連結された住宅群をシンプルな骨格の建築によりつなぐことで、この場所の粗密のバランスを再構成し、粗の部分を担う背景のような建築をつくることにした。

生活の残像を生かした空間の再編 
この住宅の家族は、50代の夫婦とその母、子供二人である。クライアントからの要望は大きく二つあった。一つは密集した既存家屋の薄暗い室内を明るくしたいということで、もう一つは社務所も兼ねた住宅のプライバシーの確保である。この要望を踏まえたうえで、長い年月を過ごしてきた住宅の動線やそれぞれの領域を生かして、壮年期を迎える家族に適した新しい環境をつくるべきだと考えた。具体的には、社務所と、母、夫婦世帯の3つの領域をL型の木の壁で視覚化する。廊下で繋がれた部屋という既存の空間構成を、大きなリビングで母と夫婦世帯の領域をつなぐ。玄関のアプローチを兼ねた通り庭で、住宅とのプライバシーを確保するため離隔した離れのような社務所用の和室という空間構成に再編した。また、浴室回りやL型壁に光を導くハイサイドライトやトップライト、空間に切れ込む通り庭により、明るい室内を実現している。新しい空間が生まれると見えなくなる生活の残像を生かした空間の再編により、穏やかで優しい新しさを備えた空間の魅力をつくりだせたと感じている。

DATA

建築主 個人
所在地 愛知県一宮市
用途 個人住宅
構造 在来木造
規模 地上2階
敷地面積
建築面積
延床面積
239.63㎡
143.68㎡
174.44㎡
構造 藤尾建築構造設計事務所
施工 松原建築商事

PHOTO

写真 谷川ヒロシ
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