大阪と奈良の府県境に近い、たくさんの家が窮屈そうに建て込む郊外住宅団地を遠景に望むような農地と農村集落。「日本の民家」に出てきそうな母屋の脇に建つのが、「LONG HAT」と名付けた今回の「はなれ-2」である。母屋に母親、この「はなれ-2」には長男夫婦と子ども1 人が住むことになる。隣に建つ「カヒナ」(設計:城戸崎和佐)には、長女夫婦の家族4 人が暮らす。大家族が、「味噌汁の冷めない距離」で、つかず離れずうまくやっている。
在来木造(4 号建築)というのは、普通にプランニングすると、壁が、壁量計算で必要な量より多くなる。構造がダブつくのが気になって、耐力壁以外は基礎から持ち上げてみた。その結果、足元にうまい具合に透過性が生みだされる(冬にはアクリルワーロンを嵌め込んで断熱する)。耐力壁の部分だけ、基礎に土台が接合され、ブレースが入る。自然光は真っ白の床でリバウンドして室内に広がる。大きな、というか普通のサイズの開口部からの透明な直接光とリバウンドする光が混ざり合って時間とともに移ろっていく。いちばん人が集まるところの床を40cm 下げて、段差に腰掛けられるようにする。壁を持ち上げたことで生まれた地窓が、アイレベルに近づいて視覚を周囲に拡張させる。切断しつつつなぐこと。サンクンの床の中央には独立柱がふさわしい。柱が構造に効くような屋根の架構を考えた結果、独立柱に向かって梁が下降する空間が生み出される。細長い空間が床の段差と屋根架構によってゆるやかに分節される。