中学校の改築計画である。校舎配置は、既存校舎や土砂災害危険区域、倒壊が懸念される老木から距離をとること等から導いたジグザク配置とした。教科・機能毎にまとまりをもたせた「４つのクラスター」を、ジグザグの折れ点の構造コアであり、一部木造を法的に実現する区画棟でもある「ヒンジコア」でつなぐ構成である。

断面計画としては、１階に地域開放ゾーン（管理諸室と特別教室）、２階に教室ゾーン（教室と図書）を配置し、地域住民が訪れやすい環境と生徒の落ち着いた学習・生活環境の両立を図っている。１階の地域開放ゾーンでは、まちギャラリー、まちカフェ（ランチルーム）、棚田ホール（大階段）を計画し、スタジオ（特別教室と地域連携室）群と共に段階的な地域開放レベルの設定により、地域と学校の共同しやすい環境づくりを目指した。２階の教室ゾーンは、発注者から求められた教科センター方式とし、教科毎に教科ラボ（オープンな学習スペース）、教科教室、先生コーナー、少人数教室、HB(ホームベース)など、開放度の異なる様々な学習スペースを設けている。開放的な各教科ラボには学習履歴などが掲示され、それらをつなぐ２階の主動線である「学びの並木道」は異学年の交流やリビングのような生活の場ともなる。

１階及び２階の外周部をRC造、２階の各クラスター中央部は町産木材を用いた木造とし、学びの並木道を特徴づける樹状の木柱が並ぶ。木造部屋根は石州瓦の勾配屋根として、地域の景観を引き継いでいる。