豊川市では、公共施設の老朽化に伴う統廃合、機能や利用圏域の重複する施設の多機能化・複合化を推進するリーディング事業の一つとして、「一宮地域交流会館（仮称）」整備事業を「一宮エリアの施設再編プロジェクト」に位置づけている。この計画は、①支所機能、②集会室等を含むコミュニティ機能、③図書館機能、④児童館機能、⑤福祉相談・高齢者支援機能を含む複合施設と、⑥アリーナを備えた体育施設の6つの機能を統合することにより、一宮地区の活動や多世代交流の促進拠点を創造する公共施設再編プロジェクトである。我々は2023年に実施された公募型プロポーザルにより本プロジェクトの設計者として選定された。

複合施設と体育施設を含んだ敷地の中心に広場を配置し、体育施設、集会所、児童館などの様々なアクティビティが外部空間に顔を出す提案とした。複合施設には吹抜のある開放的な大階段を設け、一宮の北東側にそびえる本宮山を望む2階テラスへ繋がっていく計画である。また、大階段と吹抜を中心に、支所の待合空間、児童館、集会所、図書館を利用する人びとの居場所をつくり、それぞれの機能が互いに共存しながら、多世代の交流や活動が広がる施設を目指した。体育施設では敷地の高低差を活用し地形に合わせた階段状の観覧ベンチやスロープを設けている。広場からは気軽に体育施設でのイベントを観覧でき、また開口部を開け放つことで広場と体育施設の一体利用が可能な計画とした。