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HASE BLDG.8

2011Complete

CAn宇野享

街のカオス感を建築化する

この建築は名古屋の大須商店街の外れに建つ小さな賃貸ビルである。大須商店街は、アーケード型商店街として再生された日本でも稀有な成功事例のひとつである。この商店街の成功により、現在も近隣の民家やオフィスビルを店舗にコンバージョンした新しい店舗が増殖し続けている。特にオフィスビルやアパートを複数の店舗で構成した雑居ビルに改修した事例は、積層されたフロアを貫く内部階段で複数の店舗が曖昧に共存し、積層された市場のようなカオス的魅力が人々を引きつける。このカオス感を活かすために、コンクリートの荒々しい躯体を強調した、新築なのに廃墟のような空間の質をつくりたいと考えた。

ジグザクの階段とギザギザの壁

単純なルールがつくる複雑な世界に興味があり、この建築を設計する時にも思考の底流にはこの思想がある。この建築はワンフロア当たり約80㎡が4層積層された小さな建築ヴォリュームである。この4層のフロアを前面道路から奥に向かって「ジグザクの階段」が貫く。この単純な操作がふたつの効果を生み出す。ひとつは、ガラスと鏡で覆われた階段越しに見え隠れする異なるフロアへの視覚的な広がりである。もうひとつは、2、3階の階段が中心にあるワンルームの複雑な空間と、その階段上部を階段状にデザインした展示棚である。この階段の操作は、街の雑居ビルと同じような空間体験を新しいかたちで実現している。さらに、建物外観には賃貸ビルとしてのシンボル性、路面から上部の店舗へ行きたくなるような喚起力というクライアントからの要望があった。南北の壁をカタチの異なる2枚の「ギザギザの壁」にして、道路に面したファサード側で双方のギザギザの頂点を結ぶ形態を与えるという単純な操作により前述のシンボル性と喚起力を実現する。結果として、今にも動き出しそうな視覚的力学を感じさせる外観の建築が生まれた。

もうひとつのギザギザ

このテーブルは、2階のオーナーオフィス用にデザインしたものである。70㎝角のテーブルの4辺の一部を欠き取り、建築の外壁同様ギザギザのテーブルをつくった。このギザギザを活かして様々なテーブルレイアウトが生まれる。あたかも、樹木の葉が増殖していくように多彩な表情を生み出すことから「LEAF」と名付けた。

DATA

所在地 愛知県名古屋市
用途 店舗ビル
構造 RC造
規模 地上4階
敷地面積
建築面積
延床面積
102.81㎡
79.67㎡
288.93㎡

PHOTO

Photo 上田宏
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