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Healthcare

クリニックハウスN

2002Complete

C+A小嶋一浩

Other use | Houses

東京近郊のニュータウンに建つ皮膚科のクリニックと医師のセカンドハウス。特徴的な正円形のプランは、ふたつの理由から生み出された。ひとつは、幹線道路から少し入り込み、数件の建物に囲まれた敷地に建つ建築が、窮屈な印象を与えずに周囲からうまく認知されること。もうひとつは、診療所特有の患者の動きに関係している。受付を済ませて順番を待つ、中待ちへ進む、診察して治療を受ける、精算をする。ループを描く一筆書きの動きがそのまま円弧となり建築化されるイメージがあった。

常時40人、長い人だと3~4時間も待つ1階の待合いを快適なものにしたいということがこの建物のファーストプライオリティである。大きな開口で外部と連続する空間とし、スラブを持ち上げて高い天井を確保した。一方で診療スペースは、最も効率的になるようなものの配置が具体的に要求される。束縛をさけるためにおおきなワンルームに対してカーテン、家具のみで構成されている。待合とは正反対の活発なアクティビティーがここでは展開されている。

2階の住宅は、主室の周りを回遊できるプランに引き戸を数カ所つけただけのワンルームである。大きな引き戸を閉じることで2部屋に分かれる。室1は遠隔地に住む母が上京したときに、室2は診療のあとドクターが休息するスペースとして想定しているが、例えば来客、スタッフとのミーティング、食事会、遠い将来には夫婦だけで棲む等、様々な生活像に対応できるようあえてつくり込むことをしていない。1階と2階とは内部でつなげずに距離をつけている。移動だけで気分がすっかり切り替わることが求められた。

奥へと拡がっていくこと、室内にいてどん詰まりがないこと。円形のプランはかなり制約がある反面、隅がないという形態的特徴は視覚的に連続することで空間にある流れを与える。開口部の切り欠き方、天井の高さ、光の状態、様々なファンクションを重ね合わせることで、その強度を操作し様々な表情を作り出した。

DATA

所在地 千葉県千葉市
用途 診療所、個人住宅
構造 RC造
規模 地上2階
敷地面積
建築面積
延床面積
403.9㎡
184.46㎡
280.71㎡

PHOTO

写真 平井広之

PUBLICATION

新建築
GA JAPAN
2002年5月号
56
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